調査・研究
調査・研究への取り組み
ズーラシアでは、野生動物の飼育下での生態や繁殖、病気などに関する様々な調査研究が行なわれています。動物園でしか得られない貴重なデータを蓄積し、それを分析することで、希少動物の種の保存や野生動物医学の発展に貢献することができるからです。
また、今後はJICA(国際協力機構)やフィールド研究者とも連携を図り、野生下での調査活動にも取組んでいきます。
繁殖についての研究
野生動物の繁殖のしくみについては、未知の部分も多く、たんにオスとメスを一緒に飼うだけではうまく繁殖しないこともあります。血液中の性ホルモンの変動を知ることができれば、繁殖に適した時期がわかります。ズーラシアでは野生動物の繁殖周期を調べるため、血液やふん、尿などに含まれる性ホルモンの分析を、横浜市繁殖センターや大学などの研究機関と協力して行なっています。野生動物の生息域外保全を行うためには、このようなデータを長期間に渡って積み重ね、より計画的に繁殖させるようにしなければなりません。
【これまでにホルモン分析を行っている主な動物】
インドゾウ(血液、ふん、尿)、オカピ(ふん、尿)、オオアリクイ(だ液)、マレーバク(血液、ふん)、ゴールデンターキン(ふん)、アムールトラ(ふん)など
野生動物の病気についての研究
動物園で飼育している動物も、人間と同じように様々な病気や感染症になることがあります。野生動物を展示し、計画的に繁殖させるためには、これらの野生動物を終生、健康に飼育する必要があります。ズーラシアでは、このような動物の病気や感染症についての症例検討や研究も行っています。
【これまでに行なった研究の例】
1. メガネグマのアレルギーについて
飼育していたメガネグマの皮膚アレルギーについて、小児科アレルギーの専門家とともに治療方法について検討しました。
2. 鳥マラリアを媒介する蚊の調査
ペンギンやシロフクロウなどに「鳥マラリア」を媒介する蚊の種類を特定するために、園内に生息している蚊の捕獲調査を行ないました。
![]() ペンギン展示場内に設置した蚊の捕獲器 |
その他の研究
病気や繁殖に関する研究以外にも、ズーラシアでは様々な調査研究を行なっています。野生動物の生態や体の構造について調べることは、それらの動物の飼育や保護に役立つからです。【これまでに行なった研究の例】
1. オカピのミルク成分の分析
オカピのピッピやルルが産まれた際には、担当の飼育係が母親の母乳を採取することができました。協賛企業でもある「タカナシ乳業」の協力を得て、オカピの乳性分を分析しました。
2. クマ類の前肢の動かし方と解剖学的特徴
クマ類の中でもホッキョクグマは泳ぐのが得意な動物です(泳ぎ方は犬かきです)。骨の研究者とともに手の骨の形や泳ぎ方を調べた結果、他のクマ類よりも平たい前足の骨をオールのように使って泳いでいることがわかりました。
園内に生息している身近な生きものについての調査
ズーラシアは、世界の希少動物だけではなく、園内に生息している身近な生きものにも目を向けています。平成18年度から、職員が結成した「身近な生き物調査チーム」がズーラシア周辺の生きものの生息状況について調べています。得られた成果は、教育普及活動にも活用される予定です。![]() 水鳥の池で調査中 |
成果の発表と研究交流
調査研究により得られた成果は、学会や研究会、学術雑誌などに発表し、同じような研究に取り組む動物園水族館、大学、フィールド研究者などと交流し、情報の交換や共同研究の相談などを行っています。今後は、分かりやすい形で来園者や市民の方々へも紹介していきたいと考えています。【これまでに成果を発表した研究会や学会】
1.日本動物園水族館協会関係の研究会
動物園技術者研究会、海獣技術者研究会、種保存会議、動物園水族館教育研究会、ゾウ会議など
2.獣医学や野生動物、教育学などの専門分野の学会
日本野生動物医学会、世界獣医歯科大会、SAGAシンポジウム、日本環境教育学会、ヒトと動物の関係学会など
3.専門的な雑誌
動物園水族館雑誌、日本野生動物医学会誌、獣医畜産新報など


